集合知システム研究室

本研究室では,複数の人が集まって,組織で,チームで,モノ,サービス,情報を作り出すこと(によって顧客に価値を提供すること)が「生産」の本質であると考え,工場やサービス店舗,サプライチェーンなど,広い意味での生産システムの運用を対象とした研究を行っています.動的な環境の中で生産システムを運用していくための意思決定の多くは,何らかの最適化問題を解くことに対応すると考えることもできますが,それらすべてが明示的に定式化されコンピュータに委ねられているわけではありません.実際の生産システムでは,今も多くの意思決定を人が担っています.「機械知能(machine intelligence)」と「人間知能(human intelligence)」の協働や,複数人の「人間知能(human intelligence)」の協働を「集合知」と呼ぶとすると,生産システムとはまさに「集合知システム」であるわけです.特に,Industry 4.0などの標語のもと,「デジタル化(digitalization)」・「知能化(smartification)」が進んでいくこれからの時代に,「人間知能(human intelligence)」が果たすべき役割についての洞察を得ることや,それを支援する手段を開発することを目指して,本研究室では,以下のような研究を行っています.

研究紹介

①生産システム運用に関わる意思決定のモデル化と支援:  生産システム運用の一端を担う担当者の意思決定(生産現場での作業の順序付けや資源への割付けなど)を,例えば,マルコフ決定過程などの形で数理的にモデル化し,そのモデルを基盤として,意思決定の質を高めるために人が果たすべき役割を解明していきます.このとき,強化学習エージェントなどに意思決定を模擬させるエージェントシミュレーションと,シリアスゲーム内で実際の人に意思決定を行ってもらう参加型シミュレーションを相補的に利用しています.そして,そうして得られた理解に基づいて,意思決定の実行や,意思決定に必要な技能の習得を支援する手段の開発と評価を行います.

②生産システム運用を支える知的協働の解明と支援:   生産システムの運用に複数の担当者が関わっており,それらの担当者の意思決定の相互作用(臨機応変な役割分担や情報交換など)がシステム全体の生産性を高めるための鍵を握っている場合があります.そこで,そうした担当者間の知的協働を,例えば,進化ゲームやマルコフゲームなどの形で数理的にモデル化し,そのモデルを基盤として,知的協働を効果的に機能させるための条件を明らかにしていきます.また,そうして得られた知見を現場に役立つ支援ツールにつなげていきます.ここでも,コンピュータ内でのエージェントシミュレーションと,実際の人の協力を得る参加型シミュレーションとを相補的に利用しています.

③スケジューリングオークションの研究:        生産する財の種類や数をまだ完全に決めていない段階で,潜在的な顧客から要求に関する情報を入札という形で受け取り,実際に生産する財の種類と数,それらの価格,買手となる顧客(勝者)などを,ある種のオークションを通じて同時に決定するメカニズムをスケジューリングオークションと呼んでいます.これまで,所定の製品・サービスを,所定の納期・価格で購入するという受動的な立場に置かれていた顧客に,生産計画の立案にも関与してもらうようにすることで,サービス・製品を通じて顧客に提供する価値の向上を目指します.製造業に加えて,演劇などのエンターテインメント産業を始めとする幅広い分野への社会実装を試みています.

④集合知メカニズムの理論構築と産業応用:       複数人の間に分散していた知識が集約され,「集合知」が形成されていく仕組み,すなわち「集合知メカニズム」は,直接アクセスすることが困難な,人々の頭の中にある知識をうまく引き出すための,知識提供者とシステムの間の「インタラクション」,その「インタラクション」を適切に機能させるための「インタフェース」や「インセンティブ」などが組み合わされて成り立っています.この仕組み(の一端)を,ゲーム理論やメカニズムデザインの概念を基盤として,数理的に捉え,分析することを試みています.また,その結果を,新たなマーケットリサーチ手法,組織内の知識共有システム,意思決定支援システムなどの設計や改善に役立てていきます.

卒論・修論

bachelor
SIPS を用いた予測市場システムの拡張とエージェントシミュレーションによる検証
2018, 卒論
bachelor
クレーンで操作する複数のLIFOバッファをもつ単一機械生産システムの運用手法の研究
2018, 卒論
bachelor
グループインタビューにおけるトピック推移に着目したモデレータの機能分析
2018, 卒論
bachelor
コンビニエンスストアにおける視線解析を用いた購買行動分析
2018, 卒論
bachelor
シミュレーションを用いたホールスタッフの作業ノウハウの分析
2018, 卒論
bachelor
シミュレーションを用いた牛乳サプライチェーンの商習慣の検証
2018, 卒論
bachelor
シミュレーションを用いた飲食店における座席案内業務の分析
2018, 卒論
bachelor
シーケンスペアと焼きなまし法を用いた居住レイアウト設計支援システムの構築
2018, 卒論
bachelor
ビジュアルに対する感性を考慮した消費者セグメンテーションのための入力一致型ゲーム
2018, 卒論
bachelor
モデレータの反応に着目したグループインタビュープロセスの分析
2018, 卒論
bachelor
製品・サービスに対する主観的属性収集のための逆問題型ゲームの改良と検証
2018, 卒論
master
インタビュー会話の可視化とそれに基づくモデレータスキルの考察
2018, 修論
master
シリアスゲームによる飲食店ホールスタッフの認知スキルの分析
2018, 修論
master
拡張型予測市場による知識共有システムの提案と検証
2018, 修論
bachelor
ゲームを用いた飲食店の売上と待ち時間に影響を及ぼすホールスタッフのノウハウの分析
2017, 卒論
bachelor
テキストマイニング・プロトコル分析によるインタビュープロセスの可視化
2017, 卒論
bachelor
予測市場を用いた映画の興行収入時系列予測の精度向上
2017, 卒論
bachelor
仮想スーパーマーケット空間を用いた購買行動分析ゲームの提案
2017, 卒論
bachelor
問題解決のためのチームコミュニケーション分析ゲーム「TeaCoSt」の提案
2017, 卒論
bachelor
製品・サービスに対する主観的属性収集のための出力一致型ゲームの改良と検証
2017, 卒論
bachelor
製品・サービスに対する主観的属性収集のための逆問題型ゲームの改良と分析手法の提案
2017, 卒論
master
ColPMan ゲームを用いた協調的なサプライチェーン運用に有効な情報共有戦略の分析
2017, 修論
master
Designing a Human Computation Game for Enhancing Early-Phase Movie Box Office Prediction
2017, 修論
master
ユーザの選好の多様性を考慮した予測市場による経路推薦サービス Route Market
2017, 修論
bachelor
Choice Sense 2.0: マーケットセグメンテーションを目的としたGWAPシステム
2016, 卒論
bachelor
ゲームを用いた飲食店ホールスタッフの作業ノウハウに関する研究
2016, 卒論
bachelor
レンタルショップにおけるCS評価モデルの提案
2016, 卒論
bachelor
予測市場を用いた営業部門における知識共有システムの性能評価
2016, 卒論
bachelor
予測市場を用いた映画の興行収入時系列予測
2016, 卒論
bachelor
決算説明会から事業の業績とその傾向や要因を半自動的に抽出するシステムの基本設計
2016, 卒論
bachelor
決算説明会後の個別取材のためのスケジュール自動生成サービスの提案
2016, 卒論
bachelor
潜在意図を考慮したWEBサービス上でのユーザ行動のモデル化と分析
2016, 卒論
bachelor
賞味期限を考慮した牛乳サプライチェーンにおける廃棄量削減に関する研究
2016, 卒論
bachelor
銘柄が増える予測市場のための流動性自動調節マーケットメーカの提案と実験による検証
2016, 卒論
master
ColleQ: 製品・サービスに対する主観的属性収集のための逆問題型ゲーム
2016, 修論
master
慢性的な列車遅延発生時における運転間隔調整実施案のシミュレーションによる評価
2016, 修論
bachelor
Choice Sense: 選好把握のためのGWAPシステム
2015, 卒論
bachelor
クラウドソーシングを用いた文章要約システムの実装と検証
2015, 卒論
bachelor
サプライチェーンレジリエンスを分析するためのシリアスゲームColPManの改良と機能検証
2015, 卒論
bachelor
チームで取り組む問題発見・解決の戦略とその変容の分析
2015, 卒論
bachelor
学習塾における従業員満足度についての研究
2015, 卒論
bachelor
座席案内のノウハウ抽出を目的としたゲームの考案
2015, 卒論
bachelor
日本語フォントに対する感性の数値化によるフォント選択支援ツール
2015, 卒論
bachelor
案内人数と場所を考慮した飲食店における動的な座席割当システム
2015, 卒論
bachelor
経路選択を目的とした予測市場システムの改良と性能評価
2015, 卒論
bachelor
遺伝的アルゴリズムを用いた環境配慮型フローショップスケジューリング
2015, 卒論
bachelor
飲食店におけるホールスタッフの動作シミュレーション
2015, 卒論
master
商品コンセプト評価・創造のための選好市場を拡張したGWAPシステム
2015, 修論
bachelor
グループディスカッションのプロセスと各参加者の貢献度の分析
2014, 卒論
bachelor
サービス産業における顧客選好のモデル化とそれを考慮した予約取付システムの評価
2014, 卒論
bachelor
ビジネスモデル・キャンバスを拡張したビジネスモデル設計支援システム
2014, 卒論
bachelor
ファストファッション店舗での購買実験に基づく顧客の購買行動と満足度のモデル化
2014, 卒論
bachelor
ブランディング支援を目的としたGWAPシステムの提案
2014, 卒論
bachelor
市場外の情報伝達を考慮した予測市場の性能評価のためのシミュレーションモデル設計
2014, 卒論
bachelor
慢性的な列車遅延時における運転間隔調整シミュレーション
2014, 卒論
bachelor
製造業シリアスゲームを用いた協働的生産管理業務の学習支援
2014, 卒論
bachelor
設備のエネルギ消費傾向をブロックとしてモデル化した環境配慮型スケジューリング
2014, 卒論
bachelor
顧客の予測退店時刻を考慮した飲食店における動的な座席割当てシステム
2014, 卒論
bachelor
顧客満足度向上を目指した飲食サービスにおける動的スケジューリング
2014, 卒論
master
シリアスゲームを用いたサプライチェーンレジリエンスを支える集団意思決定の分析
2014, 修論
master
製品・サービスに対する主観的属性収集のためのGWAPシステムの提案
2014, 修論
bachelor
ECサイトにおけるコンシェルジュ エージェントの提案
2013, 卒論
bachelor
ゴルフプレイ戦略の分析をもとにしたゴルフコース設計支援
2013, 卒論
bachelor
ピアアセスメントにおける評点算出とインセンティブ設計
2013, 卒論
bachelor
予測市場を用いた営業支援システムの提案
2013, 卒論
bachelor
予測市場を用いた製品コンセプト評価システムの設計と評価
2013, 卒論
bachelor
創造的会議のプロセス分析手法を用いた設計支援ツールの評価
2013, 卒論
bachelor
性格印象に与える影響を考慮した発話の分析とモデリング
2013, 卒論
bachelor
顧客満足向上を目指したファストファッション店舗における店員行動戦略
2013, 卒論
bachelor
クラウドソーシングを用いた文章要約システム構築に関する研究
2012, 卒論
bachelor
デルファイ法を拡張したリスク事象発想プロセス支援手法の提案
2012, 卒論
bachelor
ビデオ学習教材へのソーシャルアノテーションによる疑似集団学習システムの提案
2012, 卒論
bachelor
予測市場を応用した新たなコンジョイント分析法の提案
2012, 卒論
bachelor
成長要素を考慮した玩具設計支援ツールの研究
2012, 卒論
bachelor
楽曲間の主観的類似性と再生順序を考慮したユーザ嗜好に沿ったプレイリスト作成法
2012, 卒論
bachelor
歩行動作を対象とした感情表現と感情認識に関する基礎的研究
2012, 卒論
bachelor
突発的な認知タスク中断による再開遅れロスとその削減法に関する研究
2012, 卒論
bachelor
集合知を用いた最短経路問題へのアプローチ ― セントラルマーケットメーカの導入と機能検証 ―
2012, 卒論
bachelor
モーションキャプチャを利用した歩行動作における感情特徴量の抽出と動作生成
2011, 卒論
bachelor
予測市場を用いた予測区間自律調整型需要予測システム
2011, 卒論
bachelor
可変区間型予測証券(VIPS)を用いた需要予測のための予測市場システムの 開発と検証実験
2011, 卒論
bachelor
物流意思決定への集合知活用に関する研究 ― 最短経路問題を題材とした実験による検証 ―
2011, 卒論
bachelor
阻害要因が多発する個別受注生産現場における動的作業編成のモデル化と検証
2011, 卒論
master
新製品に対する需要予測のための予測市場システムの設計と実装
2011, 修論

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