経営管理システム研究室
必ずしも経営者を目指すということでなくとも、エンジニアが経営を理解することは益々重要になっています。経営活動においては技術そのものの追求ばかりでなく、経済性や採算性の面から技術を評価し、その位置づけや方向性を考えることも重要です。 本研究室では、技術者の視点で可能な限り工学的に経営の問題を扱います。研究対象は、経営管理に関わるアプリケーションですが、大別すると、マネジメントシステムとビジネスモデルに関するものが中心になります。 マネジメントシステムは、組織活動における情報や知識を系統的かつ組織的に活用する仕組みです。コンピュータを活用し、人、モノ、お金、環境に関わる、様々な経営情報を管理し、効果的な組織運営を行うためシステムです。その目的は、組織や個人がそれぞれの目標達成に向けて計画・実行・評価のサイクルを効果的に行うことです。対象は企業が中心ですが、教育機関や非営利組織の活動も含みます。本研究室ではマネジメントシステムの理論と方法、モデリングと実装までをカバーします。具体的には、財務や人事など企業内のシステムや、経営分析システム、環境管理システム、教育システムなどを扱います。 企業は、新市場の開拓や新しい収益を生み出す仕組み作りを追求し続けています。いわゆるインターネットビジネスは、従来の収益構造を変えるビジネスモデルの1つです。ビジネスモデルとは、情報技術を活用し、経営環境の急激な変化に対応する経営戦略の視点から収益を創造する新しいビジネスの形態と定義できます。ビジネスモデルの研究では、企業戦略を分析するモデリングの方法、新しいビジネスの仕組みを創出するための方法論、経済性の評価法、経営分析の方法を研究します。 研究活動では、数式やモデルを活用する場合もあれば、実際にデータ収集・分析やシステム設計を行ったり、シミュレーションによる評価を行うこともあります。また研究室は、財務分析や企業分析の勉強もできる場を提供し、環境配慮や企業の社会的責任、コーポレートガバナンスといった今日的な経営問題も取り上げる予定です。
研究紹介
空調マネジメント: 作業効率低下や熱中症等を防止するためには、省エネに配慮しつつも、適切な空調利用が必要である。空調システムは、冷熱(冷房時)または温熱(暖房時)を生産し、居室がそれを消費する熱生産と消費のシステムである。居室の熱資源の必要量は、利用人数、コンピュータ等の発熱機器の稼働状況や日射条件等で時々刻々と変化するが、居室側には、熱資源を管理し適切に空調を運用する手段がない。居室の熱資源の消費とコストの構造を明らかにするモデルを構築し,居室の熱資源必要量と、居室利用者の暑さ・寒さに対する体感の違いを考慮し、省エネと個々の居室の安全性と快適性の双方の観点から、合理的な熱資源配分を可能にする空調マネジメントの方法を明らかにする。